毎日違う土地で眠りたい

「わたしたちはそういうふうにますますなって行くんじゃないかと思うのよ、ヘレン。人をたくさん知れば知るほど、代わりを見つけるのがやさしくなって、それがロンドンのような所に住んでいることの不幸なんじゃないかと思う。わたしはしまいには、どこかの場所がわたしにとって一番大事になって死ぬんじゃないかという気がする」――『ハワーズ・エンド』(E・M・フォースター/吉田健一・訳)

2020-01-01から1年間の記事一覧

時間の感覚と得られる感情

カステラと猫ラーメンがおいしそう。 最近、フィクションを薦める時に「さらっと読めます!」「頭空っぽにして楽しめます」「1時間もあれば読み終わります」という言い方を多く目にするようになった気がする。逆に、「重厚な物語です」「読みごたえがありま…

同じ気持ちになることの正しさと間違い

映画『A.I』より 最近、映画をよく見ている。Amazonプライムに加入したので、その中にある映画は見放題だ。 コロナウイルスのせいで何もかも自粛中のご時世なので、同じように映画を観ている時間が増えたという人は多いのだろう。ツイッターで、以下のような…

すべての小説を社会的に読む

ペスト (新潮文庫) 作者:カミュ 発売日: 1969/10/30 メディア: ペーパーバック コロナウイルスの大流行により、世界中でカミュの『ペスト』が読まれているらしい。 私はこの作品を読んでいないのだが、あらすじを見てとても興味を引かれた。 「疫病の大流行…